過去開催の展覧会情報 2011

屏風絵展

-百枚の屏風絵- VOL.1

大谷 まや

Maya Otani

■開催日:2011年12月2日(金)~25日(日)
■時  間:10:00~18 : 00(最終日は17: 00)
■休館日:木曜日
■入場料:無料
※作家によるギャラリートークを会場にて開催。
3日(土)、4日(日)、17日(土)、18日(日) 各日13時、15時。
 


百枚の屏風絵のスタートとして
 
 8年前、東京から熱海市に移り住み、独自の作風で創作活動を展開している日本画家・大谷まや氏。屏風本来の立体的な持ち味の魅力に惹かれ、日本建築との調和などを生かした発表を企画するなど、1997年から屏風絵に取り組み始めました。今までに伊豆修善寺の「新井旅館」や青森県黒石の「高橋家」などの重要文化財の建築物での個展も開催しています。歴史ある空間で自然と一体化するような表現を通して、和紙、岩絵の具、箔などの素材も含めて屏風本来の存在を改めて伝えています。
 
 屏風のモチーフは取材、スケッチを基にしていますが、その中には、自身でも後になって感じる「さまざまな生物に対しての生命力」が込められています。特に、三月の震災以後は、より深くそれを感じるようになったそうです。左に紹介するのは、伊豆大島の三原山のお鉢まわりを描いた八連の屏風作品です。噴火の後にも生命が甦っていることに対して、意識することなくごく自然に表現した作者の思いです。
 
 大谷氏は、2011年初頭に「百枚の屏風絵」に取り組むことを決意しました。これから、屏風絵がどのように展開するか、その時々の思いが託された屏風絵展がスタートします。今回の作品展には、この夏に「さんしんギャラリー善」で開催されたワークショップで制作した子供たちの「イノチノタネ」も展示します。それを交えることで完成する空間も大谷氏からのメッセージです。

水 墨

青木 洋子 展

Yoko Aoki

■開催日:2011年11月1日(火)~25日(金)
■時  間:10:00~18 : 00(最終日は17: 00)
■休館日:木曜日 ※11月3日(木)は開館します。4日(金)は閉館日です。
■入場料:無料
 

私にとって書くことは
描くことであり
描くことは
書くことであり
祈りでもあります
 
 「何も考えずにただ線を引き続けることが今の仕事になっています。」と語る青木洋子氏。上に紹介する屏風のように、細筆による描写が表現するものは、「線」であり「間」でもあるのです。原始から今に続いている一本の「線」が層として重なり合って、その根本にあるものを呼び起こしているような印象の屏風です。
 大学で油絵を専攻していた青木氏は入学当時から「命の声」をテーマとした作品を描いていました。「生き延びようとする命を描きたい、私の作品を見て、生きたいと思って
欲しい。」油絵の制作に打ち込むとき、ふと、幼少の頃に見ていた「書」の美しさが浮かんだそうです。
 1973年、水墨への挑戦が始まりました。和紙に書いた般若心経を裏側から見てそれを自分流の表現で白いキャンバスに描きました。以後、「書」を洋画に取り入れた現代絵画の世界を展開します。1986年、「現代の白と黒展」(埼玉県立近代美術館)に出品し、「文字は人間の声」という解釈のもとにその集積をイメージとして表現しました。その延長線上に今回の「線」の世界があります。
 「自分の水位と作品の水位が同じになったら完成、向かい合っているのが好きなので、無の境地で筆を動かしています。」という青木氏の作品に包まれてみたい展覧会です。

陶 芸

安陪 均 展

Hitoshi Abe

■開催日:2011年10月1日(土)~25日(火)
■時  間:10:00~18 : 00(最終日は17: 00)
■休館日:木曜日
■入場料:無料
 
 

生活の中で生きる器
 生まれ育った伊豆の国市に窯を築き、多才な芸術家として活躍している安陪 均氏。築300年といわれる茅葺屋根の生家で、海外で収集した家具や器を使いながら暮らし、「用と美」を兼ね備えた作陶を楽しんでいます。
 陶芸をはじめ、絵画、書などの分野で幅広く発表している安陪氏ですが、そのスタートは、大阪「吉兆」で懐石料理を学ぶことから始まります。魯山人に憧れて料理人になるための修行では、本物を見る目を養いながら器と料理の取り合わせの重要性を強く感じました。日本文化を凝縮している懐石料理の老舗で修業したことが後の人生に影響をもたらし、料理が映える器を作るために陶芸の道を歩み始めます。
 伊豆半島には多くの陶芸家が窯を築いていますが、それは、伝統に縛られない自由な作風に取り組むことができるからです。関西から戻り、生家に窯を築いてからは、さまざまな作品を発表してきました。世界中で個展を開催することを目標として、今までにロンドン、オランダ、アメリカなど各地で開催しています。現在は、それもほぼ達成し、料理との相性を基本とした器を考えているそうです。
 「また、一からやり直そうと思っています」という安陪氏。料理が映える器を作りたいというのが陶芸の道に入った出発点ですので、「料理人の趣味で終わりたくない」という初心に戻って、作陶に励む日々です。

晴れの日を彩る花、もてなしの心を託した大壺の趣向

 

 

用と美を兼ね備えた作品で、生活の中で生きる陶芸

 

 
 

 

 

独創的なデザインの器で
美しい盛り付けを楽しむ日々

 

 
 

彫刻

重岡 建治 展

Kenji Shigeoka

■開催日:2011年9月2日(金)~25日(日)
■時  間:10:00~18 : 00(最終日は17: 00)
■休館日:木曜日
■入場料:無料
 
 

重岡 建治 展

ヴィーナス 大理石 1983

作品に命を込めて
 木彫、ブロンズ、大理石など様々な素材を手掛けている彫刻家の重岡建治氏。1977年に伊東市制三十周年記念として『家族』と題した彫刻を発表。現在までに13点が渚公園に設置され自然と一体化した作品群が親しまれています。「家族」「愛」「祈り」をテーマとした作品は、全国の公共空間に百体以上も在り、見て、触れて感動を伝えています。
 旧満州生まれの重岡氏は、家族で山口県に引き上げ、その後、熱海に移住。中学生の時に京都近代美術館で開催中の日展で展示されていた、日本の代表的な彫刻家・圓鍔勝三氏の作品に感動し、“彫刻”を志す決意をします。高校卒業と同時に内弟子となり、彫刻の基礎や木彫の道具の使い方、木の選択方法などを学びます。約五年間、圓鍔氏に師事した後、自宅に戻って彫刻を続け、二十五歳で日展に初入選します。
 世界に羽ばたくきっかけとなったのは、1960年に現代イタリア彫刻展(日本橋高島屋)で彫刻家・エミリオ・グレコの作品と遭遇したときでした。ローマで修行することを目標に懸命に作品を作り続け、三十五歳でローマに留学します。そこで国立アカデミア美術学校に入学し、グレコの指導を受けることになりました。デッサン重視の授業に戸惑いながらも前向きな姿勢を崩さず、彫刻家としての道を歩み続けました。
 帰国後は、前記の伊東市の大事業をスタートとして、現在では、日本を代表する彫刻家として活躍しています。アトリエを豊かな自然が魅力の伊豆高原に構え、「伊豆高原アートフェスティバル」の運営にも関わっています。
 
 
「大地から生まれた命」を感じながら彫り、そこに新しい息吹を注ぎ込む。
 

三ツの影 ブロンズ 1978
 
三位一体 ブロンズ 1987
 
 
 
空間造形家として、
自然のなかで自由に独創的な作品を
生み出していく楽しみ。
 
削ぎ落しながら極めていく美しい曲線美。
 
自分らしさを大切にした美の世界。
パトリツィア 大理石 1982
 
地中海 大理石 1983
 
リンゴの詩 ブロンズ 1987
 
 
(撮影/武智幹夫)
 
 
ワークショップ小学生作品展開催

さんしん 夏の特別企画展-1

堀部 清 写真展

[水のある町]

 
■開催日:2011年7月8日(金)~7月20日(水)
■時  間:午前10時~午後6時 ※展示最終日は午後5時に閉館します。
※計画停電により変更する場合がございます。
■休館日:木曜日 (休館日が祝日の場合は翌日休館)
■入場料:無料
 
 

自分流の色と世界を伝える写真
 モノクロ写真の美の世界を追求している堀部清氏。「私が表現したいのは、例えば、美しく咲き誇る季節の花のような誰もが美しいと感じるものではなく、自分の感性で選んだ被写体です。風景の中にあるさりげない日常、見過ごしてしまいそうな小さな花などをモノクロの世界で表現しています」。
 
 今回は、ライフワークとして取り組んでいる「郡上八幡の四季」と「自分だけの三島とその周辺地域」、どちらも「水」をテーマとしてまとめた作品を展示します。「写真はプリントして初めて完結する」という主張から美しいプリント技術への研究にも定評がある堀部氏。レンズを通した主張が細部にわたって展開されています。
 ここ数年、カメラがデジタルに変わり、簡単な手法で写真撮影ができるようになりました。さらに、加工という手法も以前よりも安易にできるようになりました。しかし、かつてフィルムの時代に、現像の時に施していた加工ではなく、今では実際にないものを付け加えたり、直すということもできる時代になってしまったのです。それは、写真が語りかける奥深い味わいを楽しむこととは異なります。
 「芸術と記録」という大きな課題を踏まえながら、独自の写真スタイルを確立させている堀部氏。写真の道を歩み始めて四半世紀、時代の流れに沿いながらフィルムからデジタルへ、自分流の「今」を「作りもの」にしない姿勢でまとめ上げています。
 
 
レンズを通してみつけた自分だけの風景、一瞬の感動を伝えます。
 

郡上八幡-夏
 
郡上八幡-冬
三島(温水池)
 
三島(源兵衛川)
 
三島(源兵衛川)
郡上八幡-秋まつり
 
郡上八幡-高雄歌舞伎

 
 
 
 
 

金属造形 鈴木 丘 展

 
■開催日:2011年6月1日(水)~6月25日(土)
■時  間:午前10時~午後6時 ※展示最終日は午後5時に閉館します。
※計画停電により変更する場合がございます。
■休館日:木曜日 (休館日が祝日の場合は翌日休館)
■入場料:無料
 
〔金属造形〕

生命を内包するブロンズ
 自然界の豊かな生命力をテーマとして作品・「種に還る果実」シリーズを発表している金属造形家の鈴木丘氏。青銅、白銅、黄銅などのそれぞれの持ち味を生かした作品からは、立体の美しいフォルムを通して内面から湧き上がる作者の熱い思いが伝わります。特に、素材の性質上、他の素材よりも高度な技術を要する白銅(ホワイトブロンズ)について、「白銅の清新な美しさが日本を意識させてくれます」と、選ぶ理由を語っています。
 鈴木氏は、31歳の時、金属彫刻を学ぶためにドイツ・ハンブルクに滞在しました。彫刻家M.S.ヴィッセル氏やK.エンゲリン夫妻のアトリエで金属彫刻を制作していたときに作家としての自覚を深めたそうです。当時出会った多くの彫刻家や美術史家から受けた影響は大きく、その後の作家人生を支えています。ドイツの住まいには庭に大きな「リンゴの樹」があり、四季折々の表情を観察しながら銅版画とブロンズ作品「BAUM」(樹)を制作。その時の思いが現在発表している「種に還る果実」シリーズにつながっています。「指で触れると動き出すような静と動の境界にある感覚を作品に持たせたい」と語るように、抽象的に見える作品のモチーフは、自然の造形であり、生命の循環を込めて生み出しているのです。
 また、建築家とのアートワークによって柱頭彫刻やモニュメントなども数多く手掛け、「見る人が作品から自然への思いを広げてほしい」と、風景や建築物との調和を大切に制作しています。
 
日常の中で生命の循環を感じた時に「種に還る果実」が誕生しました。
 

 
 
 

「宇宙」・・・自然はすべてがつながり危うい均衡の上に立っているもの。

 
何を作るかではなく、なぜ作るかを創作の原点としてドイツで学びました。

 
 
 
 
 
 

画家 相沢常樹 展

 
■開催日: 2011年5月1日(日)~5月25日(水)
■時  間: 午前10時~午後6時  ※展示最終日は午後5時に閉館します。
※計画停電により変更する場合がございます。
■休館日: 木曜日 (休館日が祝日の場合は翌日休館)
■入場料: 無料
 
〔ゆらめく風の連奏〕

輝く自然の視覚化
 今回、27回目の個展を「さんしんギャラリー善」で開催する相沢常樹氏は、作品展を「ゆらめく風の連奏」と冠しました。抽象画展だからこそ題名を付けて創作に向けての思いを伝えたいと話します。「人間の目に見える自然は、実はほんのわずかであって、私にとっての絵画は、目に見えない自然を視覚化することだと考えている」と語るように、過去の個展には、「帯状の風がうたう」「呼吸する帯状の軌跡」「ゆらぐ帯状の時空」など、ストライプで表した世界を自然界につなげるようなタイトルが数多く用いられています。モダンに構成された画面には、実際に作者の目で見て、心で感じた風景が写し出されていますが、その外に広がる大きな宇宙があることを感じ、作者が語りかける情景を共有するのも楽しい鑑賞法といえます。
 相沢氏は美術の教師として生徒を指導しながら創作を続け、数多くの作品展に出品、入選、受賞を果たしています。初期の頃は具象画を描いていましたが、マスキングテープを貼りながら彩色するという画期的な創作手法を生み出しストライプの作風を確立しました。さらに近年は、ストライプを楷書とするなら、草書的な柔らかな雰囲気の小作品を手掛けるようになりました。
 今回紹介する作品は、まるで教室で語らう生徒達のようでもあり、息づく自然美でもあるかのような新鮮な表現、自由で温かい雰囲気を感じさせるものです。「自らの絵画空間を生み出すことに私の喜びがある」という相沢氏の新しい挑戦が続いています。
 
自然の中の音を色や形に置き換える仕事を大真面目に考えています。
揺らいでいる人の心をストライプによってつなぎ止めておきたい。
大きな渦に巻かれまいとする小さな自分の領域へ思いが募る…。
 

陶芸家 崎山隆之 展

 
■開催日: 2011年4月1日(金)~4月25日(月)
■時  間: 午前10時~午後6時  ※展示最終日は午後5時に閉館します。
※計画停電により変更する場合がございます。
■休館日: 木曜日 (休館日が祝日の場合は翌日休館)
■入場料: 無料
 
「海」と向かい合いながら作る豊かな表情
 
  白い砂浜と広大な海原をイメージしたモダンな作風が海外でも高く評価されている現代陶芸作家・崎山隆之氏。作り手から離れて展示された作品からは、見る人それぞれの「海」の光景が広がるようです。 
 大学で陶芸を専攻し、卒業後に九谷焼を学び、その後、アトリエ「日高窯」を西伊豆黄金崎に構えて本格的に創作活動を始めました。伊豆半島の最南端・下田に生まれ育ち、「海」への思いを根底に、「この悠久の自然を形にしたい」とのメッセージを込めて数々の作品を発表しています。静寂な枯山水を思わせる地色に、繊細な曲線を大胆な構図で表現した造形美。その流れるような線の構成は、自由に心地よい位置で作品に向かい合う楽しみを伝えています。
 崎山氏は信楽の白い土を使用して、ろくろを使わずに平面の板から立ち上げ、組み合わせて立体にする「板作り」によって躍動感溢れる造形を生み出します。
 「外側から流れるように内側に向かう筋、外と中の関連性を持たせたい」という目的で、底から起きた線の集まりがうねって内側に集結する・・・まるで渦潮を見ているようなデザインを作り出しています。この表現は近年手掛けている『聴涛』と題するシリーズで、存在感のあるスタイルとして内外で注目されています。今回は、究極の美の世界を映し出した水指や茶碗も併せて展示します。
茶碗「聴涛」 131×128×97(ミリ)・左
水指「聴涛」 237×224×210(ミリ)・右

 
砂浜と太平洋とが交じり合い、揚々と広がる大海原の「聴涛」となった
「聴涛」となった造形はそれぞれの人の心のなかで無限に変化する
 

扁壺「聴涛」
385×395×320(ミリ)
扁壺「聴涛」
240×360×220(ミリ)
扁壺「聴涛」
585×375×290(ミリ)
水器「聴涛」
455×525×480(ミリ)

 
 

谷川 晃一 絵画展

 
■開催日:2011年3月1日(火)~3月25日(金)
■時  間:午前10時~午後6時 ※展示最終日は午後5時に閉館します。
■休館日:木曜日 (休館日が祝日の場合は翌日休館)
■入場料:無料
 
『伊豆高原に住み始めてから、樹木や草むらや土や風の中に精霊の存在を感じるアニミズム感覚が自分の中で次第に大きくなっていきました。』
 

光あふれる伊豆高原で・・・
 温暖な気候に恵まれた伊豆高原では、樹木や生き物たちの自然な姿を大切にし、その中での生活を楽しむ人々が暮らしています。
 画家であり、文筆家としても活躍中の谷川晃一(たにかわこういち)氏は1988年に東京から伊豆高原に移住しました。背後には大室山や天城の山々、目の前には太平洋が見えるという自然の恵みのなかで制作を始め、東京在住の時とは画風も変化しました。アトリエ近くの雑木林で野鳥や小動物や昆虫を見つめ、「樹木や草むらや土や風の中に精霊の存在を感じるアニミズム感覚が自分の中で次第に大きくなっていった」と語っています。また、この豊かな自然の恵みに感謝するためには緑あふれる環境を守る文化活動が大切という思いから、1993年には「伊豆高原アートフェスティバル」を企画開催し、現在も毎年5月に行われています。
 谷川氏は、さまざまな技法表現で作品を発表している画家として毎年精力的に個展を開催しつつ、美術評論家としても数多くの著書があります。なかでも、独学で確立した絵画に対しての信念を基にした鋭い視線には定評があります。さらに、絵本も多く手掛け、多くのファンを魅了しています。近年は、船をモチーフとした作品も多く、伊豆高原を背景とした海原の光景が明るく、力強く描かれています。
 

彫刻家 堤 直美 展

 
■開催日: 2011年2月1日(火)~2月25日(金)
■時  間: 午前10時~午後6時  ※展示最終日は午後5時に閉館します。
■休館日: 木曜日 (休館日が祝日の場合は翌日休館)
■入場料: 無料
 
『作品は、未来へ伝えるメッセージです。 具象でわかりやすく、 長い生命を持ったものでありたいと 考えています。』
『生命の煌めき、 生きる喜びを 土に託して 表現しています。』
 
堤 直美 展
 街中でさりげなく微笑みかける堤直美氏のモニュメント。全国各地で百数十体にもなるそれらの像は、すでに風景の一部となっています。作風は幅広く、表情豊かな女性像、徳川家康公像のような威厳にあふれた天下人の像、愛らしい小動物など、どれも見る人の心に響きます。
 昨年、還暦を迎えた堤氏は、それまでの人生について「それほど順調な人生ではなかった」と振り返ります。大学受験を迎えての直前の進路変更。何度も続いた日展落選の日々。「もう無理かと思い始めた頃から次第に芽が出始め、40歳の若さで日展審査員になりました」。この芳醇な人生ドラマが作品から滲み出ています。
 堤氏の学生時代はいわゆる現代美術の華やかな時代で、具象彫刻はあまり顧みられない存在だったようです。しかし、素材のブロンズは非常に丈夫でほぼ、半永久的に残ります。人間のものに対する価値観は時代とともに変化し、感性も多少は変わるかもしれません。その時に、堤氏は、「流行のものは、すぐに古くなってしまうし、未来の人間に残すメッセージは具象的でわかりやすく、長い生命を持ったものでなければならない」と考えました。
 人体は、[神様の作った最高の構成美]との思いから裸婦像を続けていましたが、最近は身近な生活の一コマをテーマとした作品も発表し、堅牢な構成力に裏打ちされた重厚な作品群を作り続けています。
 
遠くへ行きたい
 
 
待つ
 
 

洋画家 赤堀尚 展

 
■開催日:2011年1月11日(火)~1月28日(金)
■時  間:午前10時~午後6時 ※展示最終日は午後5時に閉館します。
■休館日:木曜日 (休館日が祝日の場合は翌日休館)
■入場料:無料
 
『恵まれた自然のなかで育ったことが私の描く絵の力になっているのだと思います』
『原色の「わび・さび」があってもいいのではないでしょうか』
『感動した風景を心に受け止めて、アトリエで構成することを試みてみました』
 
美しい色彩と独創的な画風が魅力の洋画家・赤堀 尚氏。作品が語りかけるエネルギッシュな世界が心豊かなひとときをもたらします。
 
今回の作品展は、「さんしんギャラリー 善」のオープン記念企画として開催いたします。
 

栗と青い柚子 [30F]

 

青い水差しと栗 [60F]
プレシャンブルーの窓
バラ [20F]